不動産業の経理にたずさわって
経験年数ゼロで入社したアルバイトだったのに
ありえないくらいに
やっかいな問題も扱わせてもらいました。

前々任者は引き継ぎもなしに
突然やめてしまっていました。

たまたま社内に
少し簿記の分かる人がいたので
やむなくその人が
掛け持ちで担当していたのですが

知識が日商簿記3級レベルだったので
現金の出入りからかけ離れたことは
まったくお手上げでした。

僕は前々任者の残した
手がかりをたどりながら
どうにか経理の流れを把握しました。

関連会社があって
その会社の経理責任者に
相談させてもらうこともできたし

税理士の先生もいたので
いろいろと具体的な
アドバイスを受けることもできました。

その年の年次決算処理は
ほぼ僕がやらせてもらいました。

この仕事ではエクセルをエクセルらしく
関数などの機能を駆使して
複雑で項目の多い計算や
データ管理のために使いました。

それまで社内では
手書きでされていたことを

例外にも上手に対応しながら
いかにスムーズに経理データに流すかを
熱心に研究していました。

仕事の合間に検索して
配列関数などについて調べてたりして
さらなる効率化をはかりました。

 

このとき、エクセルマクロ、VBA
と呼ばれるものがあることを知り
インターネットの情報だけを元に
四苦八苦して1つプログラムを作りました。

単純なことをするプログラムづくりに
とんでもない時間がかかりました。

どうしても関数などでは
実現できない機能がほしかったので
我慢して時間を投資しましたが

こんなやり方で、まともに
マクロを使えるようになろうと思ったら
3年はかかるなと感じました。

かといって、そのときは
プログラミングの学校に通うくらいしか
独学以外の選択肢を思いつきませんでした。

そして、プログラミングを習うには
最低数ヶ月学校に通うことになるし
費用も数十万かかると思い込んでいました。

さらに、自分の習いたい事務職用の
エクセルマクロそのものは習えず

プログラマ用の授業を受けて
それを自力で仕事に応用するしかないと
思い込んでしまっていました。

(思い込んだ、と書くのは当時きちんと
調べて検討したような記憶がないからです)

なので、とてもやっている
時間とお金はないと判断して
そのときしていた法律と簿記の勉強に
集中することにしました。

 

この勤め先に税務調査が入って
税務職員への実質的な対応を
僕がすることになったのも
とてもよい経験になりました。

自分がした経理処理について
これほど社会的責任を自覚できる機会も
そうそうないと思うからです。

 

その後、税務関連団体にも勤めさせてもらい
高度な専門性を持った
専門家というものの厳しさを垣間見ました。

そして、自分はこのような
決まったことを、素早く、繰り返し、
ミスなく処理する仕事には
適性がないということも嫌というほどわかりました。

欠点は努力と訓練で
ある程度カバーできることもあると思います。

ひきこもり中はそんなことばっかりやっていて
それがある程度以上うまくいったことが
僕の自信の根拠になっていました。

でも、欠点になっている能力、性質が
人より優れていることを求められるような専門職で
他のプロ並みにやれるほどになることは
まずないのだと思います。

団体職員時代は、経理職をやっていた時に
自分の弱点を補うためにした工夫を
一切使わないで、かつ早く正確に
仕事をすることを求められました。

その団体で仕事を続けられるような人にとっては
それが当たり前だったからでしょう。